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ヘモグロビン とは?ヘモグロビンが尿にでる理由は

公開日
更新日

 
執筆:碧井 香 (獣医師・獣医学博士)
 
 
尿の色がいつもと違ったら、驚いてしまいますね。
特に赤い場合にはどこからか出血しているのではないか、怖い病気にかかっているのではないかと心配になってしまいます。
赤と言っても、褐色だったり、オレンジ色だったり、濃い黄色だったり、赤ワインのような色、コーラや醤油のような色など様々です。
 
尿の色が赤くなるには、3つの状態が考えられます。
1つは尿中に血液が混じっている血尿、
2つ目は尿中に ヘモグロビン が存在するヘモグロビン尿、
3つ目は尿中にビリルビンが存在するビリルビン尿です。
今回は2番目のヘモグロビン尿に着目したいと思います。
 
そもそも、 ヘモグロビン とはどんなものなのでしょうか?
そして、どうして ヘモグロビン が尿中に存在するのでしょうか?
そこにどんな病気が隠れているのか一緒に見ていきましょう。
 
 

ヘモグロビン とは? 人と犬には違いがあるのか

 
ヘモグロビンとは赤血球の中にある赤い色素タンパクのことです。血液が赤く見えるのは赤血球が赤いからで、赤血球が赤いのはヘモグロビンが赤いからです。
 
ヘモグロビンはヘモという色素とグロビンというたんぱく質で構成されます。
ヘモグロビンの主な働きは酸素の運搬です。酸素濃度が高い場所(肺)で酸素と結合し、酸素濃度が低い場所(各々の臓器)で酸素を放出して、各臓器に酸素を運搬します。
 
ヘモグロビンのようなタンパク質はアミノ酸から出来ています。多くのアミノ酸が結合してたんぱく質を構成します。人を含めた脊椎動物のヘモグロビンは約150個のアミノ酸から出来ています。
ヘモグロビンの構造は、動物種あるいは個体レベルで、もとになるアミノ酸の種類や数に多少の違いがみられます。しかし、ヘモグロビンの構造はほとんど同じです。
ですから、広義的には人と犬のヘモグロビンに違いはないと考えていいでしょう。
しかし、ヘモグロビンの検査を行う場合には、その小さな構造の違いにより他の動物と区別して犬のヘモグロビンのみを検出し診断に用います。
そういった狭義の意味では人と犬のヘモグロビンに違いがあります。
 
 

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ヘモグロビン が尿にでる原因は

 
ヘモグロビンは通常赤血球の中にあります。赤血球の寿命は、120日くらいで古くなった赤血球は脾臓で破壊され処理されます。体の中の赤血球の量が安定するように、破壊される量と新しく作られる量はほぼ同じに調節されています。
 
しかし、寿命よりも前に様々な原因で赤血球が壊れると中からヘモグロビンが出てきます。ヘモグロビンが通常より多くなるとその処理が追いつかなくなり、尿に排泄されます。
この状態がヘモグロビン尿です。
赤血球が攻撃される原因には免疫介在性、感染症、毒性物質、先天的異常などがあります。
 
免疫介在性疾患は抗体や補体といった免疫をつかさどる成分が自分自身の赤血球を攻撃し、破壊します。
犬糸状虫症は、血管に虫が寄生するので、虫の刺激によって赤血球が破壊されます。
感染症は、細菌やウィルス、寄生虫などが赤血球に感染し、赤血球が壊れやすくなります。毒性物質で有名なものはタマネギなどに含まれる有機チオ硫酸化合物です。
先天的異常には、赤血球の細胞膜の異常などがあります。
 
 

ヘモグロビン尿の治療方法は?

 
ヘモグロビン尿の原因を明らかにし、それぞれの原因に対して治療を行います。
 
免疫介在性の場合は免疫抑制剤を用います。
細菌感染が原因の場合は、効果が期待される抗生物質を投与します。
犬糸状虫症は薬剤を投与する方法や、外科的に寄生虫を取り除く方法があります。
 
タマネギ中毒など毒物によるものはまず吐かせて体内の原因物質を物理的に除去します。有機チオ硫酸化合物の解毒剤はありませんから、吸収されて血液中に入ってしまうと、できることは対症療法です。酸化による赤血球の破壊を防ぐために抗酸化剤としてビタミンCなど投与をしたり、免疫学的破壊を防ぐためにステロイド剤を投与します。重症の場合には輸血を行います。
 
その他の原因の場合もそれぞれに対して処置を行い、原因を除去することが基本です。
 
 

まとめ

 
ヘモグロビン尿はヘモグロビンが尿中に存在する状態です。赤血球内にあるべきヘモグロビンが尿中に排泄されるには赤血球が壊れてヘモグロビンが外に出ることが前提です。
 
つまり、赤血球の破壊(溶血)がヘモグロビン尿の原因です。溶血が起きるとヘモグロビン尿だけでなく、貧血になる可能性が非常に高いので、注意が必要です。溶血の原因の治療がヘモグロビン尿の根本治療となります。これらの原因を明らかにすることは獣医師でないとできませんので、犬がいつもと違う色の尿をしたら、直ちに病院へ行きましょう。
 
 
<執筆者プロフィール>
碧井 香 (あおい こう)
獣医師・獣医学博士。
現在はフリーライターなど多岐に活動。
麻布大学獣医学部卒業 獣医師免許取得、某アニマルクリニックに勤務しながら、同大学院にて獣医学博士号取得、独立行政法人某研究所勤務、アメリカの研究機関勤務を経て今に至る。
 
 

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